][ 介護保険制度制度の概要

1. 保険者と被保険者 

    第1号被保険者 第2号被保険者
対象者 65才以上の人 40才以上65才未満の医療保険に加入している人
月額保険料
(厚生省案)
基準額2500円で10年後は3500円 健康保険加入者:2600円から3400円を労使折半。
国民健康保険加入者:所得割(2500円を国と折半)に
加え世帯員の分を加算。
段階別保険料 第1段階:老齢福祉年金及び生活保護受給者
           基準額×0.5
第2段階:住民税非課税者(世帯)
           基準額×0.75
第3段階:住民税非課税者(本人)
           基準額
第4段階:住民税課税者(政令で定める基準下)
           基準額×1.25
第5段階:住民税課税者
           基準額×1.5
 
介護サービス
給付の対象者
寝たきり、痴呆などで入浴・排泄など日常生活に
常に介護を必要な人
家事や身支度などの日常生活に支援を必要な人
初老期痴呆、骨粗鬆症、脳血管障害など老化にともなう
病気によって介護を必要な人
 

2. 申請から介護サービスまで

本人または家族が市町村・特別区への申請
市町村の職員などが訪問調査 かかりつけ医の意見書
聞き取り調査表でコンピューターによる1次判定の後、介護認定審査会
(保健・医療・福祉の学識経験者で構成)による2次判定
市町村・特別区の認定(申請後30日以内に本人に通知)
介護サービス計画の作成(本人の希望を入れて介護支援専門職
(ケアマネージャー)が介護サービスの利用計画を作成)
在宅介護サービスの給付 介護保険施設での介護サービス
  

3. 介護サービスの種類

   在宅サービス  施設サービス
要介護者 訪問介護(ホームヘルプ)
訪問入浴
訪問看護
訪問リハビリテーション
通所リハビリテーション(デイケ)
居宅療養管理指導(訪問診療)
通所介護(デイサービス)
短期入所生活介護(ショートステイ)
短期入所療養介護(ショートステイ)
痴呆対応型共同生活介護(グループホーム)
特別施設入所者生活介護(有料老人ホーム)
福祉用具の貸与・購入
住宅改善費の支給
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護老人保健施設(老人保健施設)
介護療養型医療施設
    (療養型病床群・老人性痴呆疾患療養病棟・介護力強化病院)
要支援者 上に同じ
(グループホームを除く)
施設サービスは利用できない

介護保険施設の比較
  介護老人福祉施設 介護老人保健施設 介護療養型医療施設
施設設備基準 居室(1人あたり10.65u)
医務室
機能回復訓練室
食堂
浴室など
廊下:片廊下1.8m以上
   両廊下2.7m以上
療養室(8u)
診察室
機能訓練室
食堂
浴室など
廊下:片廊下1.8m以上
   両廊下2.7m以上 
病室(6.4u)

機能訓練室
食堂
浴室など
廊下:片廊下1.8m以上
   両廊下2.7m以上
人員基準
(100人あたり)
医師1人(非常勤)
看護婦3人
介護職31人
介護支援専門員1人
その他
医師1人
看護婦10人
介護職24人
理学療養士または
作業療法士1人
介護支援専門員1人
その他
医師3人
看護婦17人
介護職17人
介護支援専門員1人
その他

 

4. 要介護度と給付額

1)居宅サービス

区分  主な状態 支給限度額(月額)
要支援 生活管理能力が低下し時々介護が必要 6万1500円
要介護T 食事・排泄等が概ね自立し一部介護が必要 16万5800円
要介護U 洋服の着脱等が自立し、排泄等に介護が必要 18万4800円
要介護V 食事・排泄のいずれも介護が必要 26万7500円
要介護W 重度痴呆、全面介護が必要 30万6000円
要介護X 寝返りをうてない等一日中ベッドで生活 35万8300円
 

5. 自己負担金

利用者は、介護サービスの費用の1割を負担(食費は別途負担)
 

6. その他

要介護認定に不満のある場合は都道府県の介護保険審査会に不服申し立てできる。
 

7. 介護支援専門員(ケアマネージャー)

(1)介護支援専門員(ケアマネージャー)の養成対象者
 業務に原則として5年以上従事した経験のある者で医師、歯科医師、薬剤師、保健婦、助産婦、看護婦、準看護婦、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、あんま・マッサージ指圧師、栄養士、義肢装具士、言語聴覚士、歯科衛生士、視能訓練士、柔道整復士、精神保健福祉士、相談援助業務に従事する者(福祉事務所のケースワーカー、老人ホーム指導員、医療ソーシャルワーカー、老人ホーム施設長など)、介護などの業務に従事する者のうち社会福祉主事専任資格を有する者、ホームヘルパー2級の者など。

(2)養成の流れ
@対象者の実務研修受講資格試験(1998年9月以降に予定)
A実務研修(都道府県または都道府県が指定する法人)
B研修終了証の発行と資格の取得

(3)役割
@要介護者やその家族等の相談
A市区町村から受託した面接調査
B申請および更新申請の手続きの代行
Cアセスメントの実施
Dケアカンファレンスの実施
Eケアプランの起案および策定
Fサービス提供者等との連絡や調整
G審査請求の代行
H国保連合会への苦情申し立ての受付と代行

(4)配置義務
@指定居宅介護支援事業者
A指定介護療養型医療施設
B介護老人保健施設
C指定介護老人福祉施設
なお「居宅療養指導」等の居宅サービスを行う保険医療機関には配置の義務はない。
 

8. 障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準(厚生省)

生活自立 ランクJ 何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する。  
  1.交通機関等を利用して外出する。
  2.隣近所へなら外出する。
準寝たきり ランクA  屋内での生活は概ね自立しているが介助なしには外出しない。
  1.介助により外出し、日中はほとんどベッドから離れて生活する。
  2.外出の頻度が少なく、日中も寝たり起きたりの生活をしている。
寝たきり ランクB 屋内での生活は何らかの介助を要し。日中でもベッドの上の生活が主体であるが座位を保つ。
  1.車椅子に移乗し、食事、排泄はベッドから離れて行う。
  2.介助により車椅子に移乗する。
ランクC 1日中ベッドで過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する。
  1.自力で寝返りをうつ。
  2.自力では寝返りもうたない。
 

9. 痴呆性老人の日常生活自立度判定基準(厚生省)

1.この判定基準は、地域や施設等の現場において、痴呆性老人に対する適切な対
  応がとれるよう、医師により痴呆と診断された高齢者の日常生活自立度を保健
  婦、看護婦、社会福祉士、介護福祉士等が客観的かつ短時間に判定することを
  目的として作成されたものである。なお、痴呆は進行性の疾患であり、定期的
  に判定を行う必要がある。その際、必要に応じ主治医等と連絡を取ること。
2.判定に際しては、意志疎通の程度、見られる症状・行動に着目して、日常生活
  の自立の程度を5段階にランク分けすることで評価するものとする。評価に当
  たっては、必要により家族等介護にあたっている者からの情報も参考にする。
  なお、このランクは痴呆の程度の医学的判定とは必ずしも相関するものではな
  い。
3.痴呆性老人の処遇の決定に当たっては、本基準に基づき日常生活自立度を判定
  するとともに、併せて「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)」について
  も判定したのち行うこととする。なお、処遇の決定は、判定されたランクによ
  って自動的に決まるものではなく、家族の介護力等の在宅基盤によって変動す
  るものであることに留意する。
4.痴呆性老人に見られる症状や行動は個人により多様であり、例示した症状等が
  すべての患者に見られるわけではない。また、興奮、俳徊、物取られ妄想等は、
  例示したランク以外のランクの痴呆性老人にもしばしば見られるものであるこ
  とにも留意する。
 

ランク 判定基準 症状・行動例 判定留意事項等
 I 何らかの痴呆を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 在宅生活が基本であり、一人暮しも可能である。相談、指導等を実施することにより、症状の改善や進行の阻止を図る。        
具体的なサービスの例としては、家族等への指導を含む訪問指導や健康相談がある。また、本人の友人づくり、生きがいづくり等心身の活動の機会づくりにも留意する。
 II 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる 在宅生活が基本であるが、一人暮らしは困難な場合もあるので、訪問指導を実施したり、日中の在宅サービスを利用することにより、在宅生活の支援と症状の改善及び進行の阻止を図る。          
具体的なサービスの例としては、訪問指導による療養方法等の指導、訪問リハビリテーション、デイケア等を利用したリハビリテーション、毎日通所型をはじめとしたデイサービスや日常生活支援のためのホームヘルプサービス等がある。
    IIa 家庭外で上記Uの状態が見られる。 なれない場所で道に迷うとか、買物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスがめだつ等 上に同じ
IIb 家庭内でも上記Uの状態がみられる。 服薬管理ができない、電話の応対や訪問客との応対など一人で留守番ができない等 上に同じ
III 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする。 日常生活に支障を来すような行動や意志疎通の困難さがランクUより重度となり、介護が必要となる状態である。「ときどき」とはどのくらいの頻度をさすかについては、症状・行動の種類等により異なるので一概には決められないが、一時も目が離せない状態ではない。在宅生活が基本であるが、一人暮らしは困難であるので、訪問指導や夜間の利用も含めた在宅サービスを利用し、これらのサービスを組み合わせることによる在宅での対応を図る。       
具体的なサービスの例としては、訪問指導、訪問看護、訪問リハビリテーション、ホームヘルプサービス、デイケア・デイサービス、症状・行動が出現する時間帯を考慮したナイトケア等を含むショートステイ等の在宅サービスがあり、これらのサービスを組み合わせて利用する。
IIIa 日中を中心として上記Vの状態が見られる。 着替えができない、排便・排尿を失敗する、食事することができない。同じことを何度も聞く、やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、排徊、失禁、大声・奇声をあげる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為等 上に同じ
IIIb 夜間を中心として上記Vの状態が見られる。 ランクVaに同じ 上に同じ
IV 日常生活に支障を来すような症状・行動や意志疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。 ランクVに同じ 常に目を離すことができない状態である。症状・行動はランクVと同じであるが、頻度の違いにより区分される。家族の介護力等の在宅基盤の強弱により在宅サービスを利用しながら在宅生活を続けるか、または特別養護老人ホーム・老人保健施設等の施設サービスを利用するかを選択する。施設サービスを選択する場合には、施設の特徴を踏まえた選択を行う。
V 著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。 せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行為が継続する状態等 ランクT〜Wと判定されていた高齢者が、精神病院や痴呆専門棟を有する老人保健施設等での治療が必要となったり、重篤な身体疾患が見られ老人病院等での治療が必要な状態である。専門医療機関を受診するよう勧める必要がある。